労働派遣の実態と問題点

派遣法とは

派遣法とは、正式名称を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(う〜ん、長い)と言い、通称を「労働者派遣法」と言います。これを更に略したのが、「派遣法」なのです。

この法律は、昭和60年7月5日に発令され、派遣法の目的は、労働力の需要と供給のバランスを保ち、労働者派遣事業者が労働者から搾取し過ぎないよう適正な運営を指導するのが目的で作られました。

派遣法により、労働者の雇用を安定させ、ひいては福祉の増進が最大の目的とも言われています。

最近では、「労働者」というイメージが悪いからなのか、「労働派遣」とは呼ばずに「人材派遣」ということが多いようです。

高いスキルを持つ人材に関しては、過去には篠原涼子主演の高視聴率ドラマ「ハケンの品格」でスーパー派遣の存在に認知された反面、連日のニュースで、ネットカフェ難民やグットウィル問題なども浮き彫りになっている日雇い労働派遣が問題になっているのが現状です。

スーパー派遣社員は実在するのか?

人気ドラマ「ハケンの品格」で篠原涼子演じる大前春子の時給が3000円となっていましたが、実際に事務職で3000円以上はハッキリ言ってあり得ません。

事務職であれば、人の2倍働く高時給の人材より、人並みで時給1200円以下の人材を2名契約する方が経費的にも社会貢献度と言う観点でも良いと思われているからです。

では、時給3000円以上(若しくはそれに近い)の派遣社員は本当に存在するのかと言うと、IT業界を中心に存在するそうです。

但し、この条件に当てはまるのは高いIT技術を持った者だけなのです。

しかもそれだけ高い技術を持った人材は、独立してフリーとして働くケースが多いため、実際は派遣で高報酬を得ている人はほとんどにいないと言えます。

これとは、逆に加藤あい演じる森美雪のような派遣社員は非常に多く、ほとんどのケースがこれに当てはまります。

人材派遣に登録する女性の多くは、就職浪人や出産退職者が多く占めるようです。

各人材派遣会社は登録者のスキルアップを目的にPC関連の資格取得支援や電話対応の研修などを無料または格安で行いますが、実質他社に人材をとられないようにする人材確保の要素が大きいようです。

スキルアップ制度を上手に利用し、関連資格を習得しながら時給を確実にアップさせていく人も結構いるようです。

派遣の実態と問題点

ドラマ「ハケンの品格」のケースは地方ではほとんど見られません。

事実、地方で事務職だと時給は800円なら良い方です。

地方では、工場などの検品や製造工程を担っているケースが大半を占め、他にはパチンコ店のスタッフや家電量販店でのヘルパー業務くらいしかないのが現状です。

ちなみに私も某家電量販店で、インターネット取次ぎのヘルパーとして働いた経験がありますが、契約内容とは全く関係のない業務を日々行っておりました。

また、派遣の形態は、アウトソーシング(業務請負)がほとんどで、人の入れ替えも非常に早いのが当たり前の世界になっています。

ちなみに工場勤務だと、一部専門職を除き、取得資格はあまり意味を持たず、時給は1000円〜1800円と収入には期待できますが、仕事は3交代などになるので結構キツイそうです。

派遣には、近年様々な問題が浮き彫りになっています。

少し前にはグットウィル問題などで派遣会社の裏側もかいま見れ、今後改善の是正処置として日雇い派遣自体が禁止となる法整備も進められているようです。

世間を騒がせたグットウィルの主な問題点は、「データ装備費」強制的に天引き、「派遣元責任者不在」法令違反、「備品の押し売り」虚偽の販売、「二重派遣」派遣でなく労働者の供給などなど、例を挙げれば切りがありません。

最近では、リーマンショックによる世界恐慌の煽りを受け、好調だった自動車産業や家電メーカーの減産や予算の下方修正の影響を一番に受けたのが派遣社員や期間社員(条件付き直接雇用で短期雇用契約を更新)です。完全に社会問題化しています。

政治による一日も早い改善が望まれますが、大手企業と政府の見解の温度差に開きがありすぎて、対応は後手に回りそうです。